内田光子のピアノ・リサイタルへ行く。
2009年11月24日(火) 19:00~
サントリーホール
内田 光子 Mitsuko Uchida
モーツァルト ロンド イ短調 K511
Mozart Rondo in A minor, K511
ベルク ピアノ・ソナタ op.1
Berg Piano Sonata, op.1
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ イ長調 op.101
Beethoven Sonata in A major, op.101
シューマン 幻想曲 ハ長調 op.17
Schumann Fantasie in C major, op.17
休憩後のシューマンより皇后陛下もご臨席という
非常に華やかな雰囲気でのリサイタル。
ベートーヴェン目当てで行ったようなものであるが
シューマンの幻想曲の円熟味に度肝を抜かれた思いである。
なんとなく、シューマンの幻想曲は第一、第二楽章あたりが有名で
第三楽章となると、個人的にはそういえばありましたな、
といった感があったりした。
だが、内田のピアノはすべての楽章が主役となっていた。
特に第三楽章、大きな川で 時にうねりのような流れを伴いながら
ゆらゆらと漂ってゆくような醍醐味があった。
オバマ大統領の何倍も深々としたお辞儀を
皇后陛下だけでなく一般聴衆に何度も行い、
この夜の成功に素直に喜びを表す姿は 可愛らしかった。
ところで この公演、うっかり7月の前売り時期に手配を忘れており
気がついたときには 時すでに遅し状態。
3年ぶりの来日公演なのと この春の大英帝国勲章授与で
より知名度がアップしたためなのか、どこを回っても
東京公演がソールド・アウト状態で困り果ててしまった。
だが、求めよ、さらば与えられん、である。
サントリーホールのウェブサイトのチケットページを
定期的にチェックしていたところ
1ヶ月ほど前に席を確保でき、事なきを得たのである。
海外のように チケット返却分の再販売ということが
日本では一般的でないので、何らかの事情で
ホール側が押さえていた席を開放したのだろうか。
どうしても この料金の席でないと、とか
このエリアでないとダメ、という場合を除けば
案外、なんとかなることもあるようである。
だが、次回からは うっかり手配忘れがないようにしたい。
今夏のプロヴァンス音楽祭での魔笛のライブ録音が
NHK FMで放送されたので拝聴。
11月22日 14:00~
NHK FM サンデークラシックワイド
指揮 ルネ・ヤーコプス
演奏 ベルリン古楽アカデミー
タミーノ ダニエル・ベーレ
パミーナ マリス・ペーターゼン
ザラストロ マルコス・フィンク
夜の女王 アンナ・クリスティーナ・カーッポラ
ヤーコプスの じっくりとタメの効ききつつも軽快な指揮で
魔笛のにぎやかな舞台背景(この公演ではどうだったのか不明だが)
などが思い浮かび楽しめた。
歌手陣も申し分なし、特に タミーノのベーレの 伸びやかな声が秀悦。
そういえば、家族で見て楽しめるオペラというと
魔笛や ヘンゼルとグレーテル以外にすぐには思い浮かばない。
ストーリーが有名なカルメンなどは
演出によっては あまりお子様向けでなかったりするので
家族向けと銘打った公演でないと やや難しいかもしれない。
もっとも ヘンゼルとグレーテルは
演出によってはグロテスクさが強調されているのと
魔笛は子供にとっては 若干長い時間での公演なので
多少は短縮していないと厳しいかも、といった不安要素はあるようだが。
新国立劇場でベルクのオペラ ヴォツェック初日へ行く。
2009年 11月18日@新国立劇場
アルバン・ベルク ヴォツェック
Alban Berg Wozzeck
指揮 ハルトムート・ヘンヒェン Hartmut Haenchen
ヴォツェック トーマス・ヨハネス・マイヤー
Wozzeck Thomas Johannes Mayer
マリー ウルズラ・ヘッセ・フォン・デン・シュタイネン
Marie Ursula Hesse von den Steinen
鼓手長 エンドリック・ヴォトリッヒ
Tambourmajor Endrik Wottrich
現代モノとしては 比較的有名なベルクのオペラ、ヴォツェック。
バイエルン州歌劇場との共同制作ということで
ドイツらしい、今風の演出なのだが
ベルクの作品自体が 今風な題材なものばかりなせいか
妙にマッチしていた。
ベルクというと、ルルが、題材的にあまり好きではなかったのだが
ヴォツェックは 貧困がもたらす悪循環、といった
普遍的な題材であることと
ここのところの不景気などで わかり易さが増した気がする。
水の音が不安、そして水の暗さが心の闇を表現している、
そんな感じがする演出であった。
指揮者も カーテンコールでは 長靴に履き替えて登場。
歌手陣は申し分なく、また、東フィルの演奏も良かった。
こういった 現代作品をこの先も神国のオペラでどんどんやってほしいのだが・・
NHK FMでの生中継を楽しむ。
11月15日 サントリーホール
バイエルン放送交響楽団演奏会 来日公演
指揮 マリス・ヤンソンス
ブラームス 交響曲第2番 ニ長調作品73
チャイコフスキー 交響曲第5番 ホ短調作品64
超有名曲プログラム、ブラームスは ややこってり目な感じがしたが
軽さのあるこってり目で、バイエルンらしい重厚さと
ヤンソンスらしい軽快さが 程よく調和した演奏。
チャイコフスキーは 過度になりすぎないドラマチックさと繊細さを
惜しみもなく披露。耳福。
聴いてたら なぜチケットを買って行かなかったのか、
自分がうらめしくなった程だが
ここまでのものを 生中継してくれるNHKに改めて感謝。
NHKは コンスタントにまともなクラシック関係の放送がある
日本で唯一の局であるし、
今日のような素敵極まりない生中継をやってくれるので
私にとっては視聴料を払う価値が十分にあると思っている。
年末のベルリンフィルのジルベスタコンサートや
ウィーンフィルのニューイヤーコンサートもさることながら
国内外のコンサートやオペラ上演の放送などもあるのが嬉しい。
とは言え、年々 クラシック番組の枠というか、
やる気が若干薄くなっているのではないか?と思うこともあるが
これからも よろしく頼みますぞ。
NHK BS2での放送。
第1655回N響定期公演
「厳粛な歌(1996)」
ウォルフガング・リーム作曲
「歌劇"カプリッチョ"作品85から 最後の場」
リヒャルト・シュトラウス作曲
(ソプラノ)フェリシティー・ロット
「家庭交響曲 作品53」
リヒャルト・シュトラウス作曲
(管弦楽)NHK交響楽団
(指揮)アンドレ・プレヴィン
リームの曲目当てで ついチャンネルを合わせてしまったが
プレヴィン氏の指揮に 引き込まれるように最後まで拝聴。
リームは いわゆる現代音楽に属する音楽家だと思うのだが
この現代音楽が 私は食わず嫌い的なところがあり
どう解釈したらよいのか、いつも聞きながら考えてしまう。
なぜ現代音楽は 人の不安や悲しみ、
葛藤などを主題にしたものばかりなのだろう。
もっと ノーテンキに楽しさ、嬉しさを表現したものが
沢山あってもいいと思うのだが。
でも結婚できて嬉しい曲、だとか
宝くじが当たって有頂天になってる歌、というのだと
これまた 難しいのかもしれないが。
それにしても NHKの放送で聴くNHKホールでの収録は
音がなかなかよい。
現地では なんというか、ペラっとしてたり
ガサっとした音に聞こえがちである。
NHKホールの どのあたりの席だと
放送並みの音で楽しめるのか知りたいところである。
6日に引き続き今日も東フィルの定期演奏会。
2009年 11月10日 @東京オペラシティ コンサートホール
ブラームス 交響曲第3番 ヘ長調
Brahms Sympyony No.3 in F major. op90
ブラームス 交響曲第4番 ホ短調
Brahms Sympyony No.4 in E major. op98
指揮 チョン・ミョンフン cond Myung-Whun, Chung
7月に続く マエストロのブラームスチクルス。
7月の1番、2番は普通に素晴らしいと思ったが 今日の3,4番は圧巻。
特に4番、心地よい音のうねり、
重厚だが決して重くなりすぎない響きをつむぎだした
ミョンフン氏、そして東フィルに脱帽。
マエストロも 今夜の成功に非常に満足したようで
一度 楽団員も完全に舞台の袖に引っ込んだと思いきや
全員?を引き連れて 再度舞台に登場し 喝采に応えていた。
今夜 この場にいれたことを非常に光栄に思う。
こんな夜はそうそうない。
落葉松という歌を1年ぶりにラジオで聞いたので
クラシックというよりも唐突に合唱曲の話題。
この秋にぴったりな歌を初めて聞いたのが
1年ほど前に行った 国内で活躍するバリトン歌手のリサイタルだったと思う。
と思う、というのは 同時期に 国内のオペラ舞台で活躍する
男性オペラ歌手のリサイタルに複数でかけていて
多分あの方だと思うのだが、もしかして別な方だと申し訳ないし、
ということで お名前は控える次第である。
と、まあ前置きが長くなったが
一度聞くと忘れられない なじみやすいメロディと
今日たまたまNHKのFMで耳にしたものが
テノール歌手の方のものだったので
てっきり男声向けの古い歌唱曲だと思ったら
1970年代に発表された合唱曲で、
ソロの場合は どちらかというと男声よりも女声で歌われるケースが多いと知って驚いた。
ちなみに 作曲は小林秀雄、作詞は野上 彰。
合唱コンクールなどが盛んな学校にいた若い方なら
お馴染みの歌なのだろうか?
最近の合唱コンクール系の曲は なんだか色んな意味で
私にとって難解な曲が多いのだが
この歌はオペラ歌手の声ののびやかさを活かせる
数少ない合唱系の曲の一つだろう。
久々に東フィルの定期演奏会。
2009年 11月6日 @サントリーホール
ブラームス ドイツ・レクイエム
Brahms Ein Deutsches Requiem
指揮 チョン・ミョンフン cond Myung-Whun, Chung
ソプラノ 林 正子 soprano Masako Hayashi
バリトン チェ・ウンジョ baritone Woong-jo Choi
合唱 東京オペラシンガーズ chorus Tokyo Opera Singers
有名なレクイエム、ソリストもよかったが 何といっても合唱が圧巻。
マエストロ・ミョンフンの指揮も 合唱の良さを存分に活かした形で
オーケストラを上手にならせてくれていた。
めずらしくパンフレットに掲載されている歌詞対訳をこっそり読みながら鑑賞。
帰宅後も聖書の箇所がちりばめられた歌詞をかみしめながら じっくり余韻を楽しむ。
BluRayでオペラ鑑賞。
ジャンニ・スキッキ Gianni Schicchi プッチーニ Puccini
2004 Glyndebourne
指揮 Vladimir Jurowski
2004年グラインドボーン音楽祭でのジャンニ・スキッキ。
NHKでも何度か放映したので ご覧になった方も多いと思う。
手持ちのBlu Rayは輸入版なので 日本語字幕はないが、
1時間程度の手ごろな長さ、内容はひたすらライトなブラックユーモア系なので
英語字幕で十分だと思う。
このグラインドボーンでの映像にめぐり合うまで
ジャンニ・スキッキをまともに見たことがなかったのだが
アリア O mio babbino caro(私のお父さん)はひたすら有名。
眺めのいい部屋などの映画で このアリアが用いられたり
ソプラノ歌手のリサイタルなどで単独で歌われたりするので
日本でも知名度が高いアリアの一つだと思うが
ジャンニ・スキッキという作品そのものは なかなかなじみが薄い。
もっとも、遺産をめぐってのドタバタ劇、
妙なシーンで歌われるこのアリア、
一度観たら 強烈な印象が残ると思う。
歌手陣の声もさながら、芸達者なのも楽しい。
このジャンニ・スキッキ、かれこれ10回以上観た気がするのだが
同じディスクに収録されている ラフマニノフの けちな騎士(The Misery Knight)は未見。
そして未見記録を今日も更新。
しょっぱなから 2日前の話でアレですが、
フランスのソプラノ歌手 パトリシア・プティボンの来日コンサートの記録など。
パトリシア・プティボン オペラ・アリア・コンサート
Patricia Petibon Opera Aria Concert
2009年11月2日(月) 東京オペラシティ
このプティボンを初めて生で拝見したのが
今年の夏のザルツブルグ音楽祭でのコジ・ファン・トゥッテのデスピーナ役。
強烈な人物設定と あやしげな振り付け(?)付きで歌って踊るデスピーナ、
もしかして 主役4人を食ってしまったんじゃないかというくらい面白いデスピーナ、
話には聞いていたが プティボン、半端なく変わっていてすごい。
そのプティボンが秋に来日というのを帰国早々に聞いて
どうしようかと悩んで ギリギリまでチケットを手配しないでいたところ
イープラスで割引チケットが出たので エイッと出かけてみたのである。
これが あのザルツブルグのデスピーナをさらに進化させた演出、
伴奏のピアニストもたまに仕込みの人になってるし
この日のリサイタルをさかのぼること2日前に
東フィルのオーケストラ伴奏でコンサートを行ったようだが
その時の指揮者も ちゃっかり仕込みとして登場するなど
お祭り騒ぎのようでして、だが しっかり聞かせるという
なんとも不思議な、クラシックのリサイタルでは空前絶後な夜だった。
会場でもらった冊子によると
今シーズンの目玉は 来夏のザルツブルグ音楽祭などでの「ルル」主演らしい。
ルルは 個人的に 見ると体調を崩す系で あまり見たくない作品なのだが
プティボンが出るなら どっかに見に行きたくなってきた。