リヨン国立オペラの主席指揮者として活躍中の大野和士さんから
日本の小学校のこどもたちに ストラビンスキーの火の鳥、
ドビュッシーの牧神の午後で踊る課題を出し、
それに対して子どもたちが自分たちの踊りを作り上げてゆくという番組が
12月26日にNHK 教育で放送された。

プロのダンサーの手を借りての振り付けではあったが、
きちんと子ども達が動きの意味を理解していること、
そして振り付けそのものが 子どもたちの自然な動きを活かされているせいか、
学芸会などでありがちな 手旗信号的な動きではなく
気持ちのこもった 踊りとなっていた。

リヨン歌劇場管弦楽団も おそらく来日時のボランティア活動の一環だろうが
メンバーの一部が小学校に演奏に来てくれるなど協力的だったのも
素晴らしかった。

そういえば 最近の小学校の音楽の時間って
どんな授業をしているのだろうか。
だいぶ前に 音楽の教科書にいわゆる歌謡曲が
掲載されたというのでニュースになったのだが、そんな調子なのだろうか。

歌謡曲にだって いいものはあるのだが、
家に帰れば いくらでもテレビCMやらなにやらで聞くチャンスはあるだろう。
だが、いわゆるクラシカルな音楽となると
家庭の趣味次第では 聞くチャンスがあまりない子もいるのである。
だったら、昔の人はこういう音楽を作りました、いっぺん聞いてみましょう。
こういった授業も大事なのではないだろうか。

もちろん 大野さんのように この曲で踊りましょう、といった授業は
よほどのことでないと無理だとは承知であるが
でも、曲ならCDをかければ いくらでも聞かせることができる。


NHKFMにて今年のオランジュ音楽祭での椿姫の録音放送があり、
聴き入ってしまった。

NHK FM 12月20日14時~

オランジュ音楽祭2009 歌劇 椿姫

指揮 チョン・ミョンフン

管弦楽 フランス放送フィルハーモニー管弦楽団

ヴィオレッタ・ヴァレリー  パトリツィア・チオーフィ

アルフレード・ジェルモン  ヴィットリオ・グリゴーロ

ジョルジョ・ジェルモン  マルツィオ・ジオッシ

チョン・ミョンフンは今シーズン、東京フィルハーモニーと
演奏会スタイルで椿姫を指揮し、非常に良かったのだが
このオランジュ音楽祭の椿姫も期待を裏切らないもので、
2時間ちょいの演奏時間が まさにあっという間だった。

テノールのグリゴーロの声を始めて聴いたのだが、
澄んだ声でとてもよかったのだが
解説の人によると この日は調子が悪いのをおしての出演だったらしい。

絶好調なら、この人の声はどれだけ素晴らしくなるのか
想像するだけでワクワクする。

おまけで 同じくフランス放送響とミョンフンの
ウエストサイド ストーリーなんてものまで放送があった。
指パッチンだったり、掛け声は誰がやっていたんだろう、
でも面白い演奏だった。

サンティのベートーヴェン。
NHK BS2での放送。

第1660回N響定期公演

「歌劇"フィデリオ"序曲」
ベートーヴェン作曲

「交響曲 第4番 変ロ長調 作品60」
ベートーヴェン作曲

「交響曲 第6番 へ長調 作品68"田園"」
ベートーヴェン作曲

(管弦楽)NHK交響楽団
(指揮)ネルロ・サンティ

サンティの田園が聴きたくておもわずチャンネルを合わせる。

田園はここのところ、ド・ビリー&ウィーン放送響の録音にはまっており
軽やかな田園の虜になっていたのだが、
サンティの 重苦しくもなく、サッパリしすぎでもないオーソドックスな田園も
改めて素晴らしいと思った次第である。


しかし、このマエストロの指揮の間の無表情さと
終演後のニコニコしたなんとも可愛らしい笑顔との落差が
相変わらず面白い。
サントリーホールのR席は 音響的にあまり好きではないのだが
指揮者の一挙一動をライブで楽しむにはヤハリ最適の場所である。

指揮者の表情や動きがかなり分かって
なおかつ音響がばっちりという席というのは ないものだろうか。
仮にあったとしても、穴場すぎて一般で購入するのは至難の業だとは思うが。

イギリスの夏の風物詩、プロムスで一番盛り上がる
最終日のコンサート プロムス・ラストナイト、今年の分の放映。

12月12日23:00~NHK ハイビジョン

プロムス・ラストナイト2009

指揮  デーヴィッド・ロバートソン
演奏
BBC交響楽団


今年は若手のトランペット奏者が脚光を浴びていたり
掃除機を持って登場する アーノルドの大大序曲といい
なかなか面白いプログラムだったが
やはり すべてはこう言っては何だが 威風堂々の前座である。

会場すぐそばのロンドンのハイド・パークから英国の隅々まで
あちこちの野外中継会場で自分の旗を手にして大合唱で盛り上がる人々の姿に
純粋にうらやましさを感じるのであった。

日本で 国歌以外で老若男女、皆で歌えて盛り上がる曲って何だろうか。
それこそ童謡くらいしかないのではないだろうか。
そして合唱として盛り上がる童謡って、果たしてあるのだろうか。


そして、威風堂々のような位置づけの曲となると皆無ではないだろうか。
もしかするとサッカーの応援歌なんかが近い役割を持っているのかもしれないが
サッカーに疎い人にとっては さあ盛り上げよう、となっても困る問題がある。

かつて7つの海を制した帝国は
斜陽を通り越しながらも パワーを多いに貯えているようである。
その底力を垣間見た気がした。

NHK FMでバレンボイムのメンデルスゾーン イタリアを聴く。

12月1日 19:30~

指揮 ダニエル・バレンボイム

演奏 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会


メンデルスゾーン
交響曲 第4番 イ長調 作品90"イタリア"


2009年6月7日のウィーン学友協会でのライブ収録の放送。
ほかにも 同日に演奏されたファリャのスペインの庭の夜などの
放送があったが 諸般の都合で じっくり聞けたのはイタリアだけになってしまった。

バレンボイムのメンデルスゾーン、さぞかし重厚感があるかと思いきや
第一楽章は弾けんばかりの軽快さでスタート。
バレンボイム節は第二楽章あたりから じわりと効きはじめ
第三楽章あたりで全開。
だが、決して重っ苦しさはない。

例えがアレだが 脂っこそうな天ぷらを食べたら
案外カラっとしていた気分。

内田光子のピアノ・リサイタルへ行く。

2009年11月24日(火) 19:00~
サントリーホール

内田 光子 Mitsuko Uchida

モーツァルト  ロンド イ短調 K511
Mozart        Rondo in A minor, K511
ベルク     ピアノ・ソナタ op.1
Berg       Piano Sonata, op.1

ベートーヴェン  ピアノ・ソナタ イ長調 op.101
Beethoven       Sonata in A major, op.101

シューマン      幻想曲 ハ長調 op.17
Schumann         Fantasie in C major, op.17


休憩後のシューマンより皇后陛下もご臨席という
非常に華やかな雰囲気でのリサイタル。

ベートーヴェン目当てで行ったようなものであるが
シューマンの幻想曲の円熟味に度肝を抜かれた思いである。

なんとなく、シューマンの幻想曲は第一、第二楽章あたりが有名で
第三楽章となると、個人的にはそういえばありましたな、
といった感があったりした。
だが、内田のピアノはすべての楽章が主役となっていた。
特に第三楽章、大きな川で 時にうねりのような流れを伴いながら
ゆらゆらと漂ってゆくような醍醐味があった。

オバマ大統領の何倍も深々としたお辞儀を
皇后陛下だけでなく一般聴衆に何度も行い、
この夜の成功に素直に喜びを表す姿は 可愛らしかった。

ところで この公演、うっかり7月の前売り時期に手配を忘れており
気がついたときには 時すでに遅し状態。
3年ぶりの来日公演なのと この春の大英帝国勲章授与で
より知名度がアップしたためなのか、どこを回っても
東京公演がソールド・アウト状態で困り果ててしまった。

だが、求めよ、さらば与えられん、である。
サントリーホールのウェブサイトのチケットページを
定期的にチェックしていたところ
1ヶ月ほど前に席を確保でき、事なきを得たのである。

海外のように チケット返却分の再販売ということが
日本では一般的でないので、何らかの事情で
ホール側が押さえていた席を開放したのだろうか。

どうしても この料金の席でないと、とか
このエリアでないとダメ、という場合を除けば
案外、なんとかなることもあるようである。
だが、次回からは うっかり手配忘れがないようにしたい。


今夏のプロヴァンス音楽祭での魔笛のライブ録音が
NHK FMで放送されたので拝聴。

11月22日 14:00~
NHK FM サンデークラシックワイド

指揮  ルネ・ヤーコプス

演奏  ベルリン古楽アカデミー

タミーノ  ダニエル・ベーレ

パミーナ  マリス・ペーターゼン

ザラストロ   マルコス・フィンク

夜の女王   アンナ・クリスティーナ・カーッポラ


ヤーコプスの じっくりとタメの効ききつつも軽快な指揮で
魔笛のにぎやかな舞台背景(この公演ではどうだったのか不明だが)
などが思い浮かび楽しめた。

歌手陣も申し分なし、特に タミーノのベーレの 伸びやかな声が秀悦。

そういえば、家族で見て楽しめるオペラというと
魔笛や ヘンゼルとグレーテル以外にすぐには思い浮かばない。
ストーリーが有名なカルメンなどは
演出によっては あまりお子様向けでなかったりするので
家族向けと銘打った公演でないと やや難しいかもしれない。

もっとも ヘンゼルとグレーテルは
演出によってはグロテスクさが強調されているのと
魔笛は子供にとっては 若干長い時間での公演なので
多少は短縮していないと厳しいかも、といった不安要素はあるようだが。

新国立劇場でベルクのオペラ ヴォツェック初日へ行く。

2009年 11月18日@新国立劇場

アルバン・ベルク ヴォツェック
Alban Berg Wozzeck

指揮 ハルトムート・ヘンヒェン Hartmut Haenchen

ヴォツェック   トーマス・ヨハネス・マイヤー
 Wozzeck    Thomas Johannes Mayer                 

マリー   ウルズラ・ヘッセ・フォン・デン・シュタイネン
 Marie           Ursula Hesse von den Steinen

鼓手長   エンドリック・ヴォトリッヒ
Tambourmajor   Endrik Wottrich

現代モノとしては 比較的有名なベルクのオペラ、ヴォツェック。
バイエルン州歌劇場との共同制作ということで
ドイツらしい、今風の演出なのだが
ベルクの作品自体が 今風な題材なものばかりなせいか
妙にマッチしていた。

ベルクというと、ルルが、題材的にあまり好きではなかったのだが
ヴォツェックは 貧困がもたらす悪循環、といった
普遍的な題材であることと
ここのところの不景気などで わかり易さが増した気がする。

水の音が不安、そして水の暗さが心の闇を表現している、
そんな感じがする演出であった。
指揮者も カーテンコールでは 長靴に履き替えて登場。

歌手陣は申し分なく、また、東フィルの演奏も良かった。

こういった 現代作品をこの先も神国のオペラでどんどんやってほしいのだが・・




NHK FMでの生中継を楽しむ。

11月15日 サントリーホール
バイエルン放送交響楽団演奏会 来日公演


指揮 マリス・ヤンソンス

ブラームス  交響曲第2番 ニ長調作品73

チャイコフスキー 交響曲第5番 ホ短調作品64


超有名曲プログラム、ブラームスは ややこってり目な感じがしたが
軽さのあるこってり目で、バイエルンらしい重厚さと
ヤンソンスらしい軽快さが 程よく調和した演奏。

チャイコフスキーは 過度になりすぎないドラマチックさと繊細さを
惜しみもなく披露。耳福。

聴いてたら なぜチケットを買って行かなかったのか、
自分がうらめしくなった程だが
ここまでのものを 生中継してくれるNHKに改めて感謝。

NHKは コンスタントにまともなクラシック関係の放送がある
日本で唯一の局であるし、
今日のような素敵極まりない生中継をやってくれるので
私にとっては視聴料を払う価値が十分にあると思っている。

年末のベルリンフィルのジルベスタコンサートや
ウィーンフィルのニューイヤーコンサートもさることながら
国内外のコンサートやオペラ上演の放送などもあるのが嬉しい。

とは言え、年々 クラシック番組の枠というか、
やる気が若干薄くなっているのではないか?と思うこともあるが
これからも よろしく頼みますぞ。


NHK BS2での放送。

第1655回N響定期公演           
                              
「厳粛な歌(1996)」     
  ウォルフガング・リーム作曲
                              
「歌劇"カプリッチョ"作品85から 最後の場」       
 リヒャルト・シュトラウス作曲
(ソプラノ)フェリシティー・ロット
                              
「家庭交響曲 作品53」    
  リヒャルト・シュトラウス作曲
                              
 (管弦楽)NHK交響楽団
 (指揮)アンドレ・プレヴィン


リームの曲目当てで ついチャンネルを合わせてしまったが
プレヴィン氏の指揮に 引き込まれるように最後まで拝聴。

リームは いわゆる現代音楽に属する音楽家だと思うのだが
この現代音楽が 私は食わず嫌い的なところがあり
どう解釈したらよいのか、いつも聞きながら考えてしまう。

なぜ現代音楽は 人の不安や悲しみ、
葛藤などを主題にしたものばかりなのだろう。
もっと ノーテンキに楽しさ、嬉しさを表現したものが
沢山あってもいいと思うのだが。

でも結婚できて嬉しい曲、だとか
宝くじが当たって有頂天になってる歌、というのだと
これまた 難しいのかもしれないが。

それにしても NHKの放送で聴くNHKホールでの収録は
音がなかなかよい。
現地では なんというか、ペラっとしてたり
ガサっとした音に聞こえがちである。
NHKホールの どのあたりの席だと
放送並みの音で楽しめるのか知りたいところである。